連載・コラム
スイーツとの付き合い方を考える
こんにちは、石井です。
滞っていた連載も本筋へと戻っていこうと思います。前回までのお話は過去の記事をご参照ください。
さて、これを読んでいるあなたに一つ質問です。手にしているそのスマートフォンをパートナー、家族しくは、それに準ずる人に信頼して託すことはできますか?考えず、直感でYESかNOか答えてください。
突然視力を失った僕は当時フリーランスとして仕事をしており、いくつかの案件を抱えていました。ただ手にしたiPhoneで自分ができることと言ったらSiriに「誰々に電話」と話かけて、現状を伝えることのみでした。見えなくなった絶望感とともに、何もできなくなってしまった無力感が僕を容赦なく叩きのめしました。
あまりにも突然だったこともあり、このことを僕を知っている人たちに伝える必要がありました。そこで僕は自分のiPhoneを妻に託し、僕のFacebookアカウントを通じてみんなに伝えてもらうことにしました。個別に受け取るメッセージも彼女に全て対応をお願いしました。つまり僕はFacebookを含む、僕のiPhoneの情報を全て彼女に明け渡したのです。
現代社会を生きるぼくたちにとって、スマートフォンの情報やPCないの情報はともすると自分の心の中と同等かもしれません。誰かとのメッセージのやりとり、ブックマークされたURL、動画の履歴などなど、時分だけの世界観がそこには詰まっています。
それを誰かを信頼して明け渡すことが、あなたにはできるでしょうか?
残念ながらというか、幸いなことにというか、僕は叩いても埃がでないつまらない男でした。普段からお互いのiPhoneのキーロックのパスワードも知っていたし、僕にとってそれは何の抵抗も感じない行動でしたが、しばらくしてある人に「それはなかなかできないことだよ」と言われました。なるほど、当時は文春バズーカが炸裂していたまさにその時でした。
さて、iPhoneを妻に明け渡して全てを委ねた時、僕に去来した感情は「安心感」でした。もう自分ではどうにもならない状況で、その流れに全て身を任せてみることで、杞憂や不安よりも安心感が僕の心の中に生まれたのです。
誰かに身をまかせるということは、実は難しいことだったりします。
クラニアルセイクラルの施術をしていても、クライアントによっては自分自身に「緩んでいい」という許可が出せず、そして身をゆだねることもできずに頑ななままの方もいます。そこで僕は試行錯誤した上で導入として誘導瞑想を取り入れることにしました。するとかなりの割合で、施術に入った際に身を委ねてくれるようになりました。人によってはその感覚が1番気持ちが良かったと言ってくださいます。
もちろん身を委ねる前段階として、お互いを信頼しているという関係性が大切だと思います。僕はその関係性にとって大切なことは「誠実」であることだと考えています。
誰かに身を任せて楽に生きるために、自分が誠実であること。
誰かに身を委ねてもらうために誠実であること。
マインドフルネスはその「誠実で在る」ことに対して、とても助けになると実感しています。それは「在るがまま」をとらえ観察する練習、自分自信に自分自身を明け渡す練習だと僕は思っています。
最後にもう一度問います。あなたは自分のスマートフォンを信頼する誰かに明け渡すことができますか?なにか感情が動いた肩は、その感情が身体のどのあたりに影響を与えているのか、そっと観察をしてみてください。
続きはまた。
石井 健介
1979年生まれ セラピスト
アパレル業界を経て、エコロジカルでサステナブルな仕事へとシフト。2012年よりクラニアルセイクラルとマインドフルネス瞑想を取り入れたThe Calmというオリジナルセラピーを始める。同時進行してフリーランスの企画・営業・広報として働き始める。
2016年の4月のある朝、目を覚ますと突然視力が失われていた、という衝撃的な体験をしたが、日々をマインドフルにいき、生来の風のような性格も相まって周囲が驚くくらいあっけらかんと過ごしている。