2019.8.2

思考ではなく、心で言葉を受け取るということについて

マインドフルネス

僕たちが誰かからの言葉を受け取る時、その言葉は脳で処理され、思考が入り混じり、なんらかの反応をするのだと思います。きっとそれは一瞬のできごとで、僕たちはそれを意識することなく過ごしているのでしょう、日々の生活の中では。

そこには無意識の自意識があり、誰かからの言葉を受け取る時にはその無意識のフィルターがかかっていて、だから空いての真意をとらえられずコミュニケーションエラーが起こったりもするのでしょう。なんだかんだ人は誰でも幾重にも見えないバリアをはって自分を守っているのだろうと思います。

さて、そのバリアが無効化された状態でその言葉を受け取った時、人はどうなるのでしょう?まるで無防備で、まるで無垢な状態で。

僕は真っ暗闇の中で、どん底の状態でその体験をしました。

妻が僕のFBアカウントを通じて僕の状況を友人たちに報告してくれて、そこに対してたくさんの友人・知人がコメントを寄せてくれました。心配をしてくれる言葉以上に「大丈夫、絶対に見えるようになるから」「石井くんならきっと乗り越えられる」「力になるから何でも言ってね」などの言葉が200以上も並び、僕はその言葉を一つ一つ妻に読み上げてもらったのです。

妻の声を通じて届けられる言葉は頭ではなく無防備になっている心が受けとりました。受け取ったというよりも、心のど真ん中に流れこんできたという方がしっくりくるかも知れません。とにかく思考するというプロセスをすっ飛ばして、感情が反応したのです。それはとめどない涙となって身体に表現されました。手のひらは自然と胸の中心を押さえ、そして何度も何度もその胸を撫でていました。

思考が立ち上がるよりも先に、感情と身体が藩王し、その感覚をただただ受け入れました。そこで受け取った言葉は真っ暗闇の中に圧倒的な光をもたらしてくれました。

この経験がきっかけとなり、今となってはこの状態がデフォルト設定されています。信頼できる人からの言葉をあるがままに受け取ること、それを受け入れるかどうかは感情や身体感覚が教えてくれます。思考で反応しなくなり、ずいぶんと楽に生きられるようになりました。

ナチュラルに「素直」で在ることは、状態としてとてもマインドフルで在ることと同義だと僕は実感しています。

続きはまた。

石井 健介

1979年生まれ セラピスト
アパレル業界を経て、エコロジカルでサステナブルな仕事へとシフト。2012年よりクラニアルセイクラルとマインドフルネス瞑想を取り入れたThe Calmというオリジナルセラピーを始める。同時進行してフリーランスの企画・営業・広報として働き始める。
2016年の4月のある朝、目を覚ますと突然視力が失われていた、という衝撃的な体験をしたが、日々をマインドフルにいき、生来の風のような性格も相まって周囲が驚くくらいあっけらかんと過ごしている。