連載・コラム
スイーツとの付き合い方を考える
こんばんは。
マゼラン・ライター、PBMトレーナーの
美香です。
これまで2回にわたり、災害時などの支援者の
手引きであるPFAのご紹介をしてきました。
その途中ではありますが、今お伝えしたいことを
綴らせていただきますね。
PFAの続きはどうぞお待ちくださいませ。
30〜40代のシングルマザー。
2人のお子さん方はまだ小さくて、
日々一所懸命働きながら、
子育てをしていらっしゃいました。
ある時、体調がすぐれず受診したら、
ステージⅣのがんで、転移も何ヶ所か
見つかりました。
医師からは、手術はできず、抗がん剤
治療も放射線治療も効果よりリスクが
高く、できることは限られている、
と告知されました。
この話を聞いて、どう思われますか?
「まぁ、お気の毒に。」
「それは大変。」
「きっと、とても動揺していらっしゃるわ。」
「不安で不安で仕方ないでしょうね。」
「何かできることをしてあげたい」
「お子さん方のケアをしてあげなくちゃ。」
共感力がはたらき、いろいろな思いが
浮かんできますよね。
緩和医療チームの臨床心理士のわたしの
ところには、こういう患者さんの主治医から、
不安が強いから、専門的なサポートを
お願いしたいと依頼がくることがあります。
お声がかかるのはありがたいし、
お手伝いできることはしたいと思っています。
でも、ちょっと待って❗️
その方は、今、何が不安なのでしょう?
不安なのは誰?
もしかしたら、目の前の担当患者さんが、
そういう状況にいらっしゃるのに、
どうすることもできなくて、主治医が
居ても立っても居られなくなっているの
かもしれません。
あるいは、ご家族が見ていられなくて、
医療スタッフに相談したのかもしれません。
そういうことは日常茶飯事です。
医療スタッフが、何とかしなくちゃと
懸命になっているのに、どうすることも
できないという自分の不安を、
患者さんのものと認識して、
何かをしようとする。
それは、精神分析の領域では、逆転移の
アクティング・アウト(行動化)と
言われる現象です。
逆転移とは、セラピストがクライエントに
無意識に自らの感情を向けてしまうこと。
逆転移は、かつては、治療の妨げになる
要因で、排除すべきものとされていました。
でも、今では、セラピストがそれを意識化
することで、非常に有力な治療機序と
されています。
逆転移を意識化して活用することは、
何も専門領域に限ったことではありません。
「お気の毒だから何とかしてあげたい」
という思いは自然と湧いてきます。
そういう共感力は、人としてとても大切な
ものです。
でも、この思いはどこからきている?
ということに対して無自覚に行動に移すと、
相手のニーズに合っていなくて、
余計なお世話になることはよくあります。
あなたのため❣️
という動機からの行動は、たいてい
自分のエゴを満たすためですよね。
美香
オフィス イー・アイ(Emotional Intelligence)主催
プレゼンス・ブレイクスルー・メソッド(PBM)トレーナー/
星のまなびばリーダー
臨床心理士/公認心理師/大学非常勤講師
外資系IT企業に勤務後、起業したり、山小屋バイトや選挙活動などを経験しました。体を壊したことを契機に大学に編入して臨床心理学を学び、現在は、大学病院精神科に14年間勤務し、ターミナルケアにも携わっています。また、カウンセリングセンターで心理カウンセリングを行い、大学では心理アセスメントの授業を担当しています。
そのほか、PBMトレーナーとして、からだとこころのつながりから自分らしいあり方を身につけていくPBMベーシッククラスを開催しています。また、"自分と出会う、他者と出会う、世界と出会う”、対話の場である星のまなびばリーダーとして、生と死をテーマにしたLiving & Dying の会などを開いています。
そして、標高5,560mのチベットの山から海抜マイナス430mの死海まで訪れたり、ダイビングで海の世界を浮遊したり、大自然と地球と遊ぶ旅人です。