連載・コラム
スイーツとの付き合い方を考える
2019.10.13
Touch for World代表・パーソナルセラピスト 小松ゆり子 です。
「Magellan」では、五感至上主義者&セラピストの視点から「明日を選ぶ羅針盤」となるあれこれを綴っています。
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未曾有の台風が、日本を席巻していきました。
幸いにも無事だった人も、残念なことに何らかの被害にあってしまった人もいる。
私は幸いにも安全な高台にいました。
台風が通り過ぎるその時には、ベランダの窓をごく細く開けて、窓の外で風雨がうねる空気を直接感じてみるような余裕もあって。
でも、夜が明けてみると自分にゆかりのある場所がかなり被災していて、やはりざわざわと落ちつかない気持ちが続いていたりする。
そんな風に心に不安や心配を抱えてしまうのは、人間として自然な反応です。
そして、ありがたいことに私の肉体は安心安全な状態にある、というのもまた事実。
しかし、その不安や心配の「磁場」を「こころ(ハート・心臓)」に抱えていることが、自分以外の人にも影響を与えているとしたら?
もし、自分の「こころ(ハート・心臓)」に意識を起き、そこでイメージすることを「安心安全」「感謝」に変えることによって、周りにポジティブな影響を広げていくことができるとしたら?
たった5秒、ハート(心臓)にフォーカスした呼吸をすることで、実現するとしたら?
そんな「ハート」に意識をおくことが与える影響を「科学的に」研究しているのが、カリフォルニア州にある「ハートマス研究所」。
台風直前に、「マインドフルネスからハートフルネスへ」と題したセミナーで、ハートマス研究所公認トレーナーである森田玄さんのお話を聞くことができました。
「心臓は、私たちのあらゆる機能をコントロールしている」という事実。
「心臓神経学」「心臓脳」といった言葉は聞きなれないけれど、実は1991年から研究されており、論文もたくさん発表されているとのこと。
近年は「脳」こそが私たちの中枢!という考え方で医学が成り立ってきていたけれど、実はあらゆる臓器がお互いに連携し合っている、というのは昨年放送されたNHK「人体」でも取り上げられていたテーマ。
中でも心臓と脳というのは、迷走神経を通じてかなり密接に連絡を取り合ってお互いの情報をフィードバックしており。
しかも、脳→心臓のルートと、心臓→脳のルートを比べた時には、後者の心臓から脳へ信号を送る量の方が100倍多いのだとか!
心臓と感情脳(扁桃体)はことさら親密な関係なようで、心臓からの信号が乱れた時に扁桃体も不安定になってしまう。
扁桃体は過去のネガティブな情報をストックしてあり、それと今現実に起きていることの共通項を照合している。
それが、私たちの安全を守っている一方で、過度に活性した時には現在と過去を混同して私たちの思考を迷わせる。
そんな風にして、理性脳の回路(思考)がオフラインになり、脳の回路が混乱すると、現実的にも迷走した答えを導き出してしまうという、負の連鎖。
ハートマス研究所の大きな功績は、こうしたストレスが心や思考に与える影響を「心拍変動」という心拍リズムのパターンを測定し「数値化」したこと。
ストレス下では心拍変動のグラフがギクシャクと乱れ、感謝や安心などポジティブな心理状態の時にはグラフが実になめらかな「コヒーレンス(一貫性のある)」状態になる。
そのようななめらかな心拍リズムにあり、脳(思考)・心臓・感情が調和した状態が「コヒーランス」。
そして、コヒーランスな状態の時には、体液や体の組織、つまり細胞の一つ一つまでもがコヒーランスな状態になっている。
ちなみに「コヒーレンス(Coherence)」はもともと物理用語なので、それと区別するために森田さんは「コヒーランス」と呼ぶことにしたそうです。
さらに、このコヒーランスな状態であると、なんと、心臓が少し先の未来を予測した振る舞いをすることも実験でわかっているそうで。
つまり私たちはハート(心臓)というポータルを通して、何かの「叡智」にアクセスしている可能性がある。
このコヒーランスな状態になることはそんなに難しいことではなく。
そのやり方を教えていただいたものをまとめてみました。
①ハートフォーカス
くつろいで座り、胸に手のひらを当てて自分の心臓に意識をおく。
②ハート呼吸
ハートで吸って、ハートで吐くように、ゆったりと楽な呼吸をくり返す。
できれば、5秒間カウントしながら吸い、5秒間カウントしながら吐く。
(このリズムで呼吸することで、地球のリズムと同期しやすくなる)
③ハートフルネス
自分がハッピーだった時、ワクワクするようなこと、ありがたいと感謝できるようなことを思い浮かべ、ハートをいっぱいにする。
このコヒーランスのためのテクニックは、オランダ警察のトレーニングや、シリアの難民キャンプでも実践されていて、ポリスの神経緊張の解放やキャンプの子供達の夜尿症の改善など、実践的な結果がたくさん出ているようです。
ハートマス研究所では、心拍のリズムが形成する心臓の「磁場」の計測もしており、その大きさは脳の500倍なのだそう。
ハートを中心として磁石のように広がる。
それは、「オーラ」や「気」と呼ばれているものにも似ている気がしました。
この磁場が実はものすごい広さで広がり、周囲に影響を与えている、ということも実験でわかってきている。
つまり、自分の心拍リズム、磁場のあり方が周囲に影響を与えているということ。
雨も風も、地球の大気のシステムに則って動いているだけだけど、そのシステムをおかしな方向にシフトさせたのは、多分人間。
あらゆるものは、うつろう。
常に揺らぎ、うつろいゆくことこそ、生命や自然界の摂理と言ってもいい中で、同じ場所に居座ろうとするのも、人間。
でも、安全安心な場所に定着したいと願うこと、より成長発展していきたいと思うことも、人間にとっては自然の摂理であり。
自然にも人間にも、それぞれの摂理に基づいた言い分がある。
人間の磁場と地球の磁場。
どうしたら、それを調和させていけるのか、というのはこれからの課題なのだと思う。
これからもきっと、自然と共存してく中でいろいろな軋轢があるだろう。
時には、自分が被災するようなシチュエーションも起こるかもしれない。
被災当事者となったら、不安や心配を感じて右往左往するのも当然の反応であり、無理に押し込める必要はないとも思う。
(そういう時の対応策は、災害直後のトラウマケアについて書いたコチラの記事をみていただくと良いかも)
でも、もし今、自分の置かれている環境を見渡してみて、幸いにも安心安全な場所であったならば。
その事実に十分感謝しながら、まず自分の心臓の磁場をコヒーランスにしてみる。
不安や心配に突き動かされて迷走するのではなく、自分の脳と心臓と感情が調和した状態で、叡智にアクセスする。
そして、今自分がやるべきことを明晰に見定め、安心安全な心から行動に移す。
「心臓(ハート)」に意識をおき、その調和を広げていく、ということを試していきたいと思います。
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■触れて癒す〜クオリティ・オブ・タッチ
日程:2019年10月26日(土)
時間:10時〜17時
場所:表参道徒歩15分
詳細:https://touchforworld.amebaownd.com/posts/579499
■ヴァイタル・タッチセラピー
心と身体、魂をつなぐ120分間の濃密なオイルトリートメント。
植物の力、鉱物の力、そして人の手の力が全てあわさった禊のようなセッションです。生まれたてのまっさらな自分に再会したい方におすすめ。
■スクールはこちらから
https://touchforworld.amebaownd.com/
小松 ゆり子
Touch for World 代表/パーソナル・セラピスト/五感至上主義。音楽レーベル宣伝部プロモーターを経て、自然療法の世界へ。現代人の「身体性」を取り戻すこと、「心と身体、世界をつなぐ」をテーマとし、南青山のアトリエ「corpo e alma(コルポ・エ・アルマ)」を中心にセラピーやセミナーを行い、執筆、監修 も多数。東洋的な押圧とロングストロークやストレッチングを多用し、植物や鉱物の力をフュージョンさせたオリジナルメソッド「ヴァイタル・タッチセラピー」を提唱し、密度の濃い「パーソナル」なスタンスでオーダーメイドの施術を行う。音楽、カルチャーとセラピーを融合するイベントも多数開催。趣味は世界の癒しに触れる旅。