連載・コラム
スイーツとの付き合い方を考える
Touch for World代表・パーソナルセラピスト 小松ゆり子 です。
「Magellan」では、五感至上主義者&セラピストの視点から「明日を選ぶ羅針盤」となるあれこれを綴っています。
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からだの声を聴く。
とはよく言われるけれど。先日「からだの内側の音を聴く」という体験をした。
ロルファー・ボディワーカーの藤本靖さんが「身体性とトランスパーソナル」というテーマでのイベントで登壇された時の話。
ペアになり、相手のからだの横隔膜より少し上のあたりに耳をあて、身体の内側の音に耳をすませる。
肋骨を介して振動が伝わる。
トックン、トックンと、おどろくほど規則正しくリズムを刻む、心音。
この一定のリズムは、生まれる前の細胞のような時から、そして死ぬその時まで続く。
生命とはこれほどまでに律儀なのか!と感じ入る。
そのけなげなまでの律儀さによる整った空気を壊すかのように、横入りしてくる躍動感ある消化器官の音。
チュルチュル、キューン、といろんな音が予測不能なタイミングでおこるカオス。
はたまた、下腹部に耳をおいてみると、深海の底にいるような静謐でゆったりと時間が流れていく感覚にとらわれる。
無限に続く静けさ。
そんな「からだの音」を聴く時間から戻ってくると、不思議と自分がスッと整っている。
生命体の律儀さとカオス、そして静謐。
そんな生命体の全てを受け止め、共鳴することが、調和を生むのかもしれない。
また別の日のこと。
訪れた大分の住宅街で、友人が信頼しているという整体の先生の施術を受けた。
私は主訴として首の不調を訴え、全身を調整してもらう中で、先生から指摘されたのは胃腸の弱さだった。
とはいえ、ありがたいことにこの歳まで大病することもなく、いたって健康な私。
加齢とともに少し消化力が弱っていたり、食べ過ぎたら胃に重だるさが出ることは増えているけれど、胃が痛むようなことはない。
だから、先生からの指摘は正直言って少し心外ではあったのだけど、人は自分のことには気づけないものだということも知っている。
だから、なんとなく心に残ってずっとそれについて考えていた。
わたしの内側の臓器、というもののことを。
東京に帰ってきて、稲葉俊郎先生の「ころころするからだ」を読み直していた時に、「あっ!そういうことか」と腑に落ちた。
臓器には「動物性臓器」と「植物性臓器」があるという話。
外部から受けた刺激に対する「感覚」を集め、神経系を介して「伝達」し、世界に対応する「動き」を司る動物性臓器。
種をつなぐために、栄養を取り入れ排出し、淡々と自律して命を継続させようとする植物性臓器。
つまり「五感」は全て、動物性臓器の管轄である。
「五感至上主義者」を自覚し、世界をあますところなく体感したいと常にアンテナを立て、そこで得た感覚を動きに変えていくのがとりわけ好き。
そんなわたしは、常に動物性臓器を総動員しながら生きている。
ということは、植物性臓器の命を繋ごうとするけなげさ、律儀さに甘えて放置していたと言えるのではないだろうか?
わたしの体内はまるで、仕事人間で家庭を顧みず気づけば子育ても全て妻に丸投げにした結果、家庭内で居場所を失った昭和的な父さんのようになっているのでは?!
ちょっとわかりにくいですかね(笑)
生来根性も体力もあるので文句も言わず、倒れたりもしない丈夫な妻(わたしの植物性臓器)。
だから夫(わたしの動物性臓器)も、「ほおっておいても家庭は大丈夫!」と高をくくって仕事に邁進していた。
でも、年月と共にじわじわと妻の不満は募り、なんとなく家庭内(わたしの体内)が険悪になっていく。
このまま妻である植物性臓器の律儀さに甘えていては、そのうちある日突然に離婚届を突きつけられかねない。
そんなうっすらと険悪になりつつある家庭内状況が、今のわたしの胃袋や消化器なのだろう。
明確な病気や症状にはなっていなくとも、本調子というわけではなく、年齢を重ねるとともに少しずつ弱りつつある。
セラピストとしてそこそこ自分の心と体に気を配り、ソマティックな健康を維持していたつもりなのに、この体たらく!愕然!!
でもわたしに限らず、現代人はおしなべて体内という家庭環境が不和になっている可能性は高いはず。
動物性臓器が優位になりすぎて、植物性の臓器を自分でも気づかないうちに虐げている。
動物性臓器は「思考」も反映されやすい。
五感も時にウソをつく。
「わたしはこれをしているときに五感が喜ぶ!」と本人が信じて疑わないことが、実は世間に流されただけで、本来の自分の体(植物性臓器)は喜んでいない、ということもある。
小さなことでいうと、「ウニが大好き!」な人がたらふくウニを振舞われたとき、臨界点を超えた胃袋が「ウップ。もう十分かも。。。」となっていても「おいしいし、もったいない!」と、体の声を無視して平らげてしまう、
というようなことは、心当たりがあるでしょう。(ハイ!それは、わたしです・笑)
「五感を満たした」つもりだけれど、実際のところ体には負担になっていて、そのサインも送られている。
マインドフルネスであるということは、「今わたしは外界からの刺激に対してどう感じたか」を感じ続けることだけではなく。
自律的な臓器の健気さ、つまり「今、自分という生命体はどんな感じがしているか」にも意識を向ける必要がある。
わたしたちは動物である。でもその中には植物を内包している。
だから、今日から「自分を感じる」の意識のおきかたを、2通りに分けてみてはどうだろう。
そして「五感が喜ぶこと」と「自律的な体をねぎらう」の両方を意識する。
わたしの場合、まずは「ちゃんと寝るつもりで寝る」ところから(笑)
寝るのは大好きなんだけど、いろんなことをやりたくてずっと起きていてしまう。
その結果、毎晩いろんな作業の途中で気絶するように寝る、ということで身体の回復度が浅くなり、自律神経系と胃腸に負担をかけているのだと思います(汗)って子どもか!?
まぁ不調の始まりって、こんな些細なことからだったりするものです。
とりあえずちゃんと寝て、朝には柔らかい温度の白湯も飲もう(笑)
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■ヴァイタル・タッチセラピー
心と身体、魂をつなぐ120分間の濃密なオイルトリートメント。
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小松 ゆり子
Touch for World 代表/パーソナル・セラピスト/五感至上主義。音楽レーベル宣伝部プロモーターを経て、自然療法の世界へ。現代人の「身体性」を取り戻すこと、「心と身体、世界をつなぐ」をテーマとし、南青山のアトリエ「corpo e alma(コルポ・エ・アルマ)」を中心にセラピーやセミナーを行い、執筆、監修 も多数。東洋的な押圧とロングストロークやストレッチングを多用し、植物や鉱物の力をフュージョンさせたオリジナルメソッド「ヴァイタル・タッチセラピー」を提唱し、密度の濃い「パーソナル」なスタンスでオーダーメイドの施術を行う。音楽、カルチャーとセラピーを融合するイベントも多数開催。趣味は世界の癒しに触れる旅。