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2020.1.29

純度100%暗闇の中で、光を見ている自分とつながる。「ダイアログ・イン・ザ・ダーク 内なる美、ととのう暗闇」

DID ソマティック 五感至上主義 感覚 知覚 視覚

Touch for World代表・パーソナルセラピスト 小松ゆり子 です。
「Magellan」では、五感至上主義者&セラピストの視点から「明日を選ぶ羅針盤」となるあれこれを綴っています。

 

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本当の自分をどうやったら知ることができるだろうか。

例えば、方法は2つある。

 

一つは、内側に意識を向けること。

自分の内側を観る。そのために、そっと目を閉じる。

湧き上がる思考をひとしきりそのまま流したら、ハートやお腹の感覚を感じ自分の奥へ奥へと入っていく。

ゆったりと呼吸をし、自分が何を感じ、想っているのか、丁寧に眺めてみる。

そして、「本当にこの世に一切のしがらみがないとしたら、自分はどうしたいのか?」

そう問いかけて、内側で「ポコン」とあぶくが一粒生まれてくるのを待つ。

 

もう一つは、自分以外の誰かと関わること。

自分以外の他人との関わりは、反射的にまだ自らも知らない反応を引き出す。

関わりの中で、期せずして感じてしまうこと。とる行動。

それもまた、自分における真実の一端である。

 

そんな化学反応に新しい自分を発見することもあれば、人と関わることで余計な固定概念を殻のように身につけてしまうこともある。

だから、やっぱり一人になって目を閉じることが必要になる。

でも、自分の内側にこもってばかりでは人生が先に進まない。

となると、やはり外に出て人と関わることになる。

 

その繰り返しの中で、なるべく純度の高い自分に、自分自身が気づき続けることができたら。

純度の高い自分という存在に、安心してくつろいでいることができたら。

そしてそのまま、人生の密度を上げていけたら。

 

そこにはきっと、物質を超えた幸せがある。

 

 

 

昨年11月、神宮外苑にオープンした「ダイアローグ・イン・ザ・ダーク 内なる美、ととのう暗闇」は、自分を知るための2つの方法を、同時に体感できる場所。

都会の真ん中にある神聖な神宮外苑の杜、その中にある現代的な三井ガーデンホテルという場所。

 

 

 

そこに用意された、純度100%の暗闇空間。

1988年にドイツの哲学者アンドレアス・ハイネッケ博士によって考案された「ダイアローグ・イン・ザ・ダーク(以下、DID)」。

 

世界的に話題を呼んだこのプロジェクトが日本に導入されたのは、1999年。

そこから20年を経て「禅」や「マインドフルネス」「身体感覚」などの要素をより深めた、日本のオリジナルプログラムが、待望の常設展として再登場しました。

 

 

 

視覚障がいを持つアテンド(この日はマゼランでも記事を書いているイシイシ!)に誘われ、5~6人から成るグループで、お互い協力しあいながら過ごす2時間。

肩書きも育ちも関係なく、ただ声や語りの質感と、触れることで感じる相手のプレゼンスだけを信頼して、関係性を築いていく。

 

目を開けているのか、閉じているのか、もはや自分でもわからない。

まるで、顕在意識と潜在意識の間にずっといるよう。

 

水が細く流れる音が響き、足音にはひんやり心地よい玉砂利や、カサカサと音を立てる葉や草の感覚。

水の引き締め、潤う作用や、足の裏から伝わる様々な大地のあり方に気づく。

鼻から空気を吸い込んだ時の感覚や声の響き、音の立体感で、空間自体が広々としていることを感じる。

 

この環境に適応するのに時間がかかる人もあれば、手探りでこの世界を探求する欲求にかられてやたらと動き回る人もいる。

私は明らかに後者で、「新しい世界を見にいきたい」という自分の本性があらわになった。

 

どんどん子どもに還るような感覚。

 

誰かを頼ったり、頼られたり、というのは普段であれば、マウントしたりされたりにも繋がるような、気を遣うようなことだけど。

「こっちだよ」と道標をくれる声や、距離感を確かめるために触れ、触れられる背中や手の温もり。

暗闇の中ではお互いを慮る絶妙な間合いで、自然と距離感が縮まり、信頼へと変わる。

ムダに身につけた価値観の鎧のようなものが、どんどんそぎ落ちていく。

 

暗闇の中に光る、そのひとのプレゼンスだけに気づくようになる。

このまま、いっそのこと1週間くらい合宿をしてみたら、一体どんな目に見えないものが見えるようになるだろうか。

 

そして、また暗闇の中で。さらにそっと目を閉じて、自分の内側を観る。

 

最初に暗闇に入った時にはザワザワしていた身体感覚が、なめらかで、ひんやりと静まっていることに気づく。

視覚を完全に遮断した世界で、世界に出会い、自分に出会う。

 

自分の顔も、他人の顔もない世界で、魂だけが浮き上がる。

その感覚を手土産に、光のある世界への帰還。

 

 

 

 

大事なのは、そこから日常でどう生きるか。

 

視覚は美しい世界を見せてもくれるけれど、時には毒のよう。

どうしたって、くだらない情報の渦に巻き込まれてしまうし、くだらないと思いつつそれを楽しんでることもある。

そんな添加物たっぷりの嗜好品のような視覚情報が心と身体に良くないと自覚していても、やめられない自分がいる。

 

だから、ちょっと時間ができた時。お風呂の中で、移動の電車の中で。

またそっと目を閉じてみよう。

暗闇の中で、光を見ている自分とつながろう。

 

 

■ダイアローグ・イン・ザ・ダーク 内なる美、ととのう暗闇(常設)

場所:三井ガーデンホテル神宮外苑の杜プレミア2階

時間:1100分/1330分/1600分/1830分(体験時間:約120分)

詳細:https://did.dialogue.or.jp/totonou/

 
 
■ヴァイタル・タッチセラピー 

心と身体、魂をつなぐ120分間の濃密なオイルトリートメント。
植物の力、鉱物の力、そして人の手の力が全てあわさった禊のようなセッションです。生まれたてのまっさらな自分に再会したい方におすすめ。

http://yurikokomatsu.com/

■スクールはこちらから
https://touchforworld.amebaownd.com/

 

小松 ゆり子

Touch for World 代表/パーソナル・セラピスト/五感至上主義。音楽レーベル宣伝部プロモーターを経て、自然療法の世界へ。現代人の「身体性」を取り戻すこと、「心と身体、世界をつなぐ」をテーマとし、南青山のアトリエ「corpo e alma(コルポ・エ・アルマ)」を中心にセラピーやセミナーを行い、執筆、監修 も多数。東洋的な押圧とロングストロークやストレッチングを多用し、植物や鉱物の力をフュージョンさせたオリジナルメソッド「ヴァイタル・タッチセラピー」を提唱し、密度の濃い「パーソナル」なスタンスでオーダーメイドの施術を行う。音楽、カルチャーとセラピーを融合するイベントも多数開催。趣味は世界の癒しに触れる旅。

https://ameblo.jp/yurikokomatsu/