連載・コラム
スイーツとの付き合い方を考える
Touch for World代表・パーソナルセラピスト 小松ゆり子 です。
「Magellan」では、五感至上主義者&セラピストの視点から「明日を選ぶ羅針盤」となるあれこれを綴っています。
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「接触」を生業にしているセラピストとして、「非接触」の世界でどう生きていくか、日々考えている。
世の中が、非接触的な世界になっていくのを、不思議な気持ちでなんとなく眺めている。
というと、あまりにも危機感がなく聞こえるかもしれない。
もちろんトイレットペーパーの在庫が危うくなったり、残りのマスクの数を数えたりしてドキドキすることもあるし、正直いろいろ怖いと思うこともある。
でも新しいウィルスが幅を利かせる世界で、途轍もない怖さがある一方、心がむしろ静けさと落ち着きを増す瞬間もあることも感じている。
しかし、明らかに今年は花粉の影響が少ない。落ち着きはそのせいかもしれない(笑)
ひどい花粉症の私は毎年この時期は「花粉で死ねる…。」というレベルで、顔面崩壊やクシャミ鼻水による深部の筋緊張で身体もガチガチ。
有無を言わさぬ花粉の猛威が明らかに軽減している。
それはひょっとしたら活動が少なくなった中国の大気が明らかにクリアになったせいかもしれず、私が花粉というよりも大気汚染物質に反応していた可能性を示している。
地球にとって人間が良い影響を与えてこなかったカルマが、アレルギーとなって現れていたんだろう。
地球はいつも、何らかの形でバランスを保とうとする。
もしその中でウィルスが登場したのならば、そこにもなんらかの意味があるのかもしれない。
もちろん人が亡くなることが良いことだとは言えないけれど、それは感情を持つ人間特有の反応であって。
宇宙から見たらただただ、自然の摂理が働いているだけなのだ。(作られたウィルス説もあるけれど)
ネットで見ているだけだけど、世の中の反応にもなかなか国民性が現れていて、それもまた興味深い。
イタリアは歌い、アメリカは有無を言わさず、ドイツは冷静で、日本はとりあえず粛々と手を洗い、台湾は株を上げた。
買い占めのパニックを眺めて、エリザベス・キューブラー=ロスの「死の受容のプロセス」を思い出していた。買い占めに走る人たちは、まさに晴天の霹靂といった感じで、急激に目前に迫る「死」を感じたのだろう。
「死の受容のプロセス」における「否認」や「怒り」、「取引」、「抑うつ」などがない混ぜになってとりあえず右往左往してしまう。
私も、あっという間に亡くなってしまった人の話を聞くと、まだ死ねない!と、心臓がキュッとして混乱した気持ちになることがある。
その度に、本当は誰もが日々死と隣合わせである、ということを思い出す。
だから、自分がどんな風に命を全うしたいのか。
日々考え、実践しながら生きる。
それがいつもの結論で、そのチャンスは今までにも何度もあった。
恐れが完全になくなるわけではないけれど、その結論に向き合っていくごとに、少しずつ強さを得るように思う。
地球も人類も、世界はいつだって生き延び方を考え出す。
それもまた宇宙の摂理。
今は、人類が今まで築いてきたIT技術が福音となり、あらゆる点でものすごく役に立っている。
「非接触」で様々なことができるのは、「接触で感染する」この有事においては本当にすごいことだ!
人間の能力ってすごい!
人の意識が一気にシフトチェンジして、「休むべきときは休む」という日本人には根付かなかった意識や、人の時間と場所を限定しない「リモートワーク」も、ようやく定着するかもしれない。
ウィルスが落ち着いた後も、世界中で「非接触スタイル」の生活の余波は残るだろう。
それは、一つの生き延び方であり、進化だと思う。
でも、人間はもともと動物だから。
何万年とかけてやっとここまで進化してきたけど、やっぱり動物だから。
私たちから「動き」や「感触」を奪ってはいけない。
「五感への刺激」を制限してはいけない。
感覚受容器への生(ナマ)の刺激が、私たちに人類の細胞の発達に大きく関わっている。
感覚受容器への生(ナマ)の刺激が、感情や心を持つ人間に、喜びを与える。
ほとんどの仕事がリモートワークで動きなしにできるようになり、VRなどの機器を使えば体感すらできるようになるかもしれない。
でも、やっぱり空気や温度、湿度、そこを伝わる振動を皮膚感覚で得られるのは、生(ナマ)の体験だけなのだ。
シズル感たっぷりのみずみずしい桃の実の映像だけ見ても、お腹も味覚も満たされないように。
私たちの身体全体が、生(ナマ)の体感を渇望している。
その体感から、私たちの意識に変容がもたらされ、独自の創造力へとつながる。
だからこそ「非接触」の世界では、ソマティックであり続ける必要がある。
「非接触」になるほどに、今後の世界では五感で感じることが純金のように貴重なものになる。
「私の心は今、何を感じているのか」
「私の身体は今、どんな感覚を得ているのか」
「私の心と体は今、何をしたがっているのか」
自分自身の感覚、感情、心と身体のつながりに意識を向ける。
人々の生活は今、やむをえずスローダウンしている。
だから、ある程度落ち着きを取り戻したならば。
もし時間があるならば。
「私は今、何を感じているのか」という問いかけを。
それに対して反応する自分の感覚を。
評価することなく、ただ感じてみることから始めてみる。
怖い、という感情が出るかもしれない。
でも少なくとも今は、生きている。
その生を感じながら、少しでも明るい方を、居心地の良さを、探してみる。
「自分の今の感覚を感じる」能力が、ウィルスを超えた後の世界で指標になってくると思うから。
そして、できうることならば。
過不足なく、今、心地よくある自分の連なりで、人生を全うする。
来るべき未来では、きっと「ソマティック」という概念が、非接触の世界を救う。
そして、少なくとも私は新しく生まれ変わった世界に、また生身で接していきたい。
心と身体、魂をつなぐ120分間の濃密なオイルトリートメント。
植物の力、鉱物の力、そして人の手の力が全てあわさった禊のようなセッションです。生まれたてのまっさらな自分に再会したい方におすすめ。
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小松 ゆり子
Touch for World 代表/パーソナル・セラピスト/五感至上主義。音楽レーベル宣伝部プロモーターを経て、自然療法の世界へ。現代人の「身体性」を取り戻すこと、「心と身体、世界をつなぐ」をテーマとし、南青山のアトリエ「corpo e alma(コルポ・エ・アルマ)」を中心にセラピーやセミナーを行い、執筆、監修 も多数。東洋的な押圧とロングストロークやストレッチングを多用し、植物や鉱物の力をフュージョンさせたオリジナルメソッド「ヴァイタル・タッチセラピー」を提唱し、密度の濃い「パーソナル」なスタンスでオーダーメイドの施術を行う。音楽、カルチャーとセラピーを融合するイベントも多数開催。趣味は世界の癒しに触れる旅。