2023.2.18

「迷惑かけちゃいけない病」とやさしい世界。

こんにちは。半澤久恵です。
 

今回はここ数年どころではなく、この国でずっと
流行っているのではないかなーという
ある病について書きたいと思います。
 
その名は
 
「迷惑かけちゃいけない病」。
 
 
今さら私が書かずとも、とっくの昔に
皆さん思われているかもしれません。
 
身体でも感じているかもしれません。
 
迷惑かけるべからずにくっついている
うっすらとした萎縮と緊張!
 
 
私も「きちんとせねば」がベースにあるので
自分の中にこの固さをしょっちゅう感じます。笑
 
 
会社やプライベート、公共の場、あらゆる場面で顔を出す
「迷惑をかけてはいけない」。
とにかくすぐ出てきませんか。
 
 
たとえば
 
高熱が出たけど仕事を休みにくい。
なぜなら
 
他の人に迷惑がかかるから。
 

子どもが電車の中で泣き出したら
次の駅で降りたくなる。
 
だって
 
他の人に迷惑がかかるから。
 

自分が高齢になってきて
体調がいまいちなことが増えてきた。
でも困りごとなんて言ってられない。
大したことではないし、
子どもも仕事で忙しいし。
 
だから迷惑かけちゃいけない。
 

 
私の母もよく「あなたに迷惑かけたくないから」
と言いますが、そのたびに何かあれば、
そして何かある前に言ってくれた方が
お互いに良いということを伝えます。笑
 

迷惑をかけないようにする気持ちには
ある部分で気遣いや思いやりも含まれているかと思いますが、
その気持ちを我慢や忍耐のほうではなく
協力や解決のほうに使えたらなと思うのです。
 

また“迷惑をかけてはいけない”理由は他にも
イヤそうな顔をみるぐらいだったら
自分でどうにするわい!とか、
説明とか面倒なことが増えるのだったら
自分が我慢すればいいやという気持ち、など
相手や状況ごとにも様々でしょう。
 

ですが、どの理由にしても“迷惑かけないように”が強くなると
「かけるべきではない」風潮(社会の空気)になって
二次的な問題が出てきます。
 
実はこちらが見えにくいけど大きなテーマかもしれません。
 
 
それは“つながりがなくなる”こと。
 
 
迷惑をかけまいと、頼ったりお願いしたりなど、
気持ちや現状を伝えることをせず(できず)にいると
心理的、状況的に孤立していきます。
 

孤立は状況的にもわかちあえず、
精神的にもわかりあえない孤独を感じる状況です。
 

“心が独り”って多くの人にとって
つらいことではないでしょうか。
 

もし、自分が病気で寝込んでいても近くで
そのつらさをわかってくれて。
ケアをしてくれる人がいたら?
 
もし、自分が失恋をしてもうしにたい。
という気持ちになっているときに
「しにたいぐらいのつらさなんだよね」と
その気持ちを受け止めてくれる人がいたら。
 
たとえ病気がそのままでも、失恋という状況が
変わらないとしても。
 
心の痛みは、すこし違うのではないかと思います。
問題そのものが解決しなくても、気持ちをわかってもらえるだけで
心が軽くなることありませんか?
 
それぐらい「心が独り」ってつらいことです。
 

精神科医のガボールマテもトラウマと依存症の関係について
心の孤独と社会的孤立のことを言っていますが、
本当にそうだと思います。
 

大抵「迷惑かけちゃいけない」というときは
困りごとがあるときなはずで。
 

助けが必要なときにそれが届かないってどういうことになるか?
 

支援がないことで、その困りごとがますます進むと、
助け自体ももっと必要になる。
回復も時間がかかる。
本人もつらいからギスギスしてきて
そうすると周りもなんだか声をかけにくくなる。
 

そんなループが傷つきや恐れ(トラウマ)からのループです。
 

でも私たちヒトには助けたり協力したりする性質や
愛や智慧などの本質が備わっています。
 
だから、気軽に助けてが言える空気、
自分の中でも早めに疲れた、ムリを言っていいこと。
 
個人の問題としてではなく自分たちのこととして全体、つまり社会でも
こうして知ることで変わっていくことができるのではないでしょうか。
というか、現在進行形で変わってきてもいますし。
 
社会の変化にはまずは個人から。
 
こうして書いている私が人を頼っているか、
疲れたときに疲れたと言っているか休んでいるか?
ふりかえるとかなり「迷惑かけちゃいけない病」です。笑
 
 
こういうことは一朝一夕の変化ではなく
何年、何十年をかけての世代間の癒しの連鎖で
変わってくることでもあるでしょう。
 

これからつなげていきたいのは
緊張や不安ではなく理解や協力の連鎖。
 

“迷惑かけちゃいけない”と思っているときって
身体も心も固くなりませんか?
この疲れからみんなで抜けていきたいです。
 

守らなくていい世界は脅威がない世界。
誰にとってもやさしい場所になりそうです。
 
まずは自分の周りから。
身体と気持ちに心地よくお過ごしください。
 

 
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半澤久恵

公認心理師/AROHAM Holistic Healing Salon主催

SEP/ソマティック・エクスペリエンシング プラクティショナー
英国Holistic Healing College ホリスティックヒーリングカウンセラー
ハートレジリエンス協会 OAD心理セラピスト
JMET認定 EFTトレーナー

「より楽に生きる」ための心身へアプローチするセッションを提供。
個人セッションのほか、セミナーや講座で心理学やセラピスト養成なども行う。
 

20年ほど心身の探求をしながら、アロマセラピスト→ボディワーカー→心理セラピスト→公認心理師
→途中での様々な学びを統合し、今に至ります。百人百様の心身に、そのときの最適なものを提供するスタイルです。
変化し続ける生命の現れに触れながら、その動きの不思議さに魅了され続けています。

私自身の生きづらさから始まった、ヒト・人生・生きることへの研究は深めれば深めるほど豊かな世界を広げてくれます。

ストレスや苦しみ、病気は一見ネガティブだったり、排除したくなる感じかもしれません。けれど、その真裏にはそれ以上の希望や夢、愛、などがあって。「生命の本質ってこっちだったのだな。本当にいろいろ大丈夫だったのだな。」ということがわかってからは、そのことを分かち合いたく、日々セッションやセミナーを通してご一緒しています。

心や身体のつっかかりが取れて。一人ひとりが伸びやかに過ごす。心地よく在る人が増えていく。そんな世の中ってどうだろう!と鼻がふくらむ毎日です。
いろいろな形で世界中に心地よいが増えていきますよう。

好きな言葉:「こころは自由に 身体は軽く」「自然はその理に従う」


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