連載・コラム
スイーツとの付き合い方を考える
2018.8.12
こんにちは。
プレゼンス・ブレイクスルー・メソッド®トレーナーの岡本彰子です。
この夏、サマーベッドを買ったんです。
スチールの骨組みに、ブルーと白のポリ塩化ビニルが巻かれていて
折りたためて片手で持てる、昭和の頃からあったようなアレです。
私は、奈良と京都の境目、内陸の街の住宅地で
土を掘り掘り、庭仕事をしながら
主に、ローアングルで庭や植物達の写真を撮り
その庭に包まれたリビングで仕事をしています。
Magellanのインスタグラムで
空や海や山じゃない方が私の撮った写真です。
木々に覆われた庭、心地よいリビング。
そこは、囲われ、守られ、安らいで、集中しやすい場であり
時に、広がっていかない感じ、ゆるい閉塞感を感じる場でもあります。
海や山、解放感のある場所とは縁遠い私は
普段は、PBMのワークで視野を解放して
目の緊張や、心のこわばりみたいなものをとるようにしています。
先月、15年ぶりぐらいに、砂浜と海、水平線を
じっくり感じる機会がありました。
裸足の足裏に砂を、ふくらはぎにタプタプとした海水を感じながら
波や水平線や、水平線から立ちのぼっているかのような空を眺め
私を中心とした半球に遮るものを感じない爽快感を味わってきました。
そうして、私の海のイメージは更新され、
リアルの海で身体が体験した心地よさを持って、暮らしていたわけですが
また、あれが欲しい と思うようになりました。
遠くまで抜けるようなあの感じを、また味わいたい。
楽な感覚を知ってしまった身体からの強い欲求です。
だからと言って、そうそう海になんて連れて行ってあげられないし
うちのベランダから見える、高圧電線が横切る景色では満足できません。
この時、初めて、こじんまりとした空間で緩むのと同じぐらいに
広がりの中で緩みたい自分に気づきました。
だったら、真上は?
この広いベランダに寝転んで、真上の空を眺めたら
遮るものはほとんど無いはず。
そのままホームセンターへと行きました。
それから、ベランダにサマーベッドを広げるのが
夜の楽しみになりました。
10時を過ぎると、猛暑の日にも気温は30度を切り
コンクリートからの放熱もなく
横たわった身体の表面を、微風がサワっと撫でていきます。
シートに敷いたバスタオルの感触を二の腕や肘で感じながら
見上げる夜空には、南に火星が明るく光り
月は、日々形や進路を変えて、現れたり見えなくなったりしています。
距離感がつかめなくなるほどチャコールに塗りつぶされている夜。
灰色の雲が、流れながら形を変えて闇に溶けていくのを飽きずに眺める夜。
夏の大三角形がきれいに見える夜。
どの夜も、こめかみは軽く、眉間は広がり
サマーベッドに無防備に身体を預けながら
私の輪郭が放射状にゆっくりと拡がっていくのを感じ
トロトロと溶けてしまいそうな幸せに
時にうっかり寝てしまう。
今年の夏は、そんな贅沢を味わっています。
(写真にうまく撮れない夏の大三角形を絵にしてみました。
こんなにたくさん星が見えてはいないのですが
見えていないだけで、きっとあるのですよね)
岡本 彰子
プレゼンス・ブレイクスルー・メソッド®(PBM)トレーナー。香りと植物の探究室 Tatazumai主宰。植物学修士、京都府在住。
「終わらない庭」と名付けた庭のある自宅で、セッションや講座を開催しています。身体の感覚を通して、思考や感情に振り回されずに落ち着きを取り戻したという経験から、身体経由で心を整えるメソッド PBMをお伝えしています。また、精油を使った調香のセッションやワークショップも行っています。Magellanには、ライター&Instagram担当のひとりとして参加。庭づくりと写真撮影は趣味を超えています。