連載・コラム
スイーツとの付き合い方を考える
Touch for World代表・パーソナルセラピスト 小松ゆり子 です。
「Magellan」では、五感至上主義者&セラピストの視点から「明日を選ぶ羅針盤」となるあれこれを綴っています。
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「繊細さとは、粒子が細かくて透明なもの。
もし何かに壊されそうになっても、粒子は形を変えていける。
細かいがゆえに変容し、再構成できる。
透明さを濁らせるようなものが混じったら、大きな粒子を濾過し、また透明に戻ることができる。
つまり、繊細さとは強さでもあるのだ。」
これは、先日参加した、World Shift 2019『宇宙船地球号創造学校』の「Being」クラスで私が個人的に得た、革命的な気づき。
あの日得た体験は、じわりじわりと私の内側で満ちて、水位をあげている。
「自分が繊細である。」
と言う自覚は全くない。
むしろ、鈍感力の高さには自信があるし、年の功もあってメンタルは腰のある極太うどんのように強靭になり、ふてぶてしさは年々右肩上がりだ。
セラピーで肉体に触れるのは得意で、自分が過度に疲労したり、いわゆる「エネルギーを受ける」といったことも滅多にない。
でも、「セラピスト」としては、「強さ」が邪魔になる瞬間がある。
傷ついている人たちに寄り添う時。
相手の微細な領域を感じとろうとする時。
目の前に立ちはだかる、見えない壁がある。
だから、もっと繊細になりたい。
陽の要素が強い自分だけでなく、陰の要素を知り、幅広いチャンネルを使いこなしたい。
そんな風に思いつつも、自分が持つ陽的な要素である「強さ」を使う方が楽で手っ取り早いから、繊細さには手をつけずに、そのまま来てしまった。
「World Shift」つまり、この世界を変容させてゆくにはどうしたら良いのか。
「World Shift」の最小単位としての自分。
まず、自分の内側の感覚や身体知に目を向け、「自分と和解する」。
そのために行われたのが、トラウマセラピストの藤原ちえこさんと、「シアターワーク」を提唱する俳優・アーティストの小木戸利光さんによる「vulnerability」のワーク。
「vulnerability」と言う日本語に訳しにくいこの言葉を、ちえこさんは「自分の弱さを認め、それをオープンにすること」と表現していた。
ワークでは、まず自分が敬愛する同性を3人思い浮かべ、それぞれの人の魅力を書き出す。
そしてどこに自分が惹かれているのか、共通点を探してみる。
実は、それは自分の「ライト・シャドウ=受け入れ難い自分の強み」。
自分の魅力を他者に見出しているわけだけど、シャドウ(心の影)なので、自分では気づきにくく受け入れ難い。
でも、それを認め、受け入れて「OWN=自分のものにする」にできた時、その感覚は心と身体の安定や安心感を得るための、自分の内側にある大きなリソース(資源)になる。
例えば「愛情深さ」が共通項だった時、それを自分を主語にして「私は”愛情深い”人間です」と声に出してみる。
この時にもし抵抗を感じるなら、その心と体の感覚を丁寧に観察しながら、OWNできるまで声に出して繰り返す。
(抵抗がなくなり自分のものになるまで、あるいは完全にOWNしなくてもプロセスを感じる。)
ワークは3人一組で行われ、こちらの言葉を受け止める聞き役は
「はい、あなたは愛情深い人です。もう一度、聞かせてください。」
とただ傾聴し、繰り返すように促す。
言う側はなかなか簡単ではなくて、中には自分の発した言葉が受け入れにくくて泣いている人も。
もう一人のオブザーバーはそのワークの様子を見守り、ワークをする人が何か言いたい時のクッションにもなる。
私が選んだのは「繊細だけど強い」と言う言葉。
この時引っかかるのは「繊細」の方で。
「強い」に関してはむしろ自負がある(笑)
「繊細だけど」と、一声発するごとに、お腹がもぞもぞとしたり、胸が詰まりかかったりと、身体感覚が変化していくのがわかる。
それを観察しながら数分間、「私は、繊細だけど強い」と言い続ける。
モヤモヤもぞもぞとした感覚はだんだんと移動して、ついには違和感がなくなった。
グループワークの後は、小木戸さんの誘導による「自分を見つめる」時間。
小木戸さん曰く、「表現」とは大げさなものではなくて、身体のあり方、呼吸の変化、涙が一筋流れる様子などのさまざまな身体的なディテールに、その人の「物語」が現れてくる。
自分の世界に静かに取り組んで、心と身体から「自ずと表面に表れようとしているもの=表現」を観察する。
そしてその「物語」を文字や絵に落としこんでみる。
冒頭の「繊細とは」から始まる文章は、その時に書き記した私の物語のかけら。
「繊細」と言う言葉の何が引っかかるのか。
たとえば、折れる、傷つく、儚さ、消えてしまう、などへの連想であり、それらは一様に「弱さ」を思わせる。
でも、「繊細」とは「弱さ」ではない。
私が、もし自分の「繊細さ」を認めないとしたら何ゆえか?
ひょっとしたら、いつか壊れそうだったことがあったのかもしれない。
そこを今までは腕力に近いような「強さ」で押し返してきた。
けれど、「力」には限界がある。
もはや、力で世界に対峙することには、ある種の疲弊をしてしまった気がする。
だからもっと、新しい形で世界に向き合っていきたい。
粒子の細かさを使って、何に対しても緩やかに形を変えて、世界に対応するのだ。
ためしに、粒子の細かい、透明な自分として存在してみる。
粒子の細かい、透明な自分はどのように世界に存在しようとするのかを観察する。
すると、光や風、緑のある方に近づきたくなる。
でも、ふと振り返って人混みや都会のカオスを眺めてみると、その中でも細かい粒子として流動的に自分で自分を還元しながら存在できると言うこともわかる。
力は、もういらない。
繊細であること=強いのだから。
毎日、毎時間、毎分、毎秒。
粒子の細かい、透明な自分として存在することを忘れないようにしよう。
小木戸さんとちえこさんと。 素敵なワークをありがとう!
心と身体、魂をつなぐ120分間の濃密なオイルトリートメント。
植物の力、鉱物の力、そして人の手の力が全てあわさった禊のようなセッションです。生まれたてのまっさらな自分に再会したい方におすすめ。
■スクールはこちらから
https://touchforworld.amebaownd.com/
小松 ゆり子
Touch for World 代表/パーソナル・セラピスト/五感至上主義。音楽レーベル宣伝部プロモーターを経て、自然療法の世界へ。現代人の「身体性」を取り戻すこと、「心と身体、世界をつなぐ」をテーマとし、南青山のアトリエ「corpo e alma(コルポ・エ・アルマ)」を中心にセラピーやセミナーを行い、執筆、監修 も多数。東洋的な押圧とロングストロークやストレッチングを多用し、植物や鉱物の力をフュージョンさせたオリジナルメソッド「ヴァイタル・タッチセラピー」を提唱し、密度の濃い「パーソナル」なスタンスでオーダーメイドの施術を行う。音楽、カルチャーとセラピーを融合するイベントも多数開催。趣味は世界の癒しに触れる旅。