2019.4.19

太陽系のレイヤーを生きる時間

人間 宇宙

先日仕事からの帰り、ふと新幹線の窓から夕日を見ました。

長くエキサイティングなミーティングの後で、思考モードがオフになりきっていなかったのに、多摩川の向こうに沈む夕日を見たらなんだか不意に、涙が出そうなくらい胸が熱くなって驚きました。

 

私は、健康である、とはどういう状態であるかを考えた時いつも思い浮かぶ言葉に

「生き物として本来的」

という言葉があります。

 

現代に生きる私たちの生活は、「生き物として本来的」でないことばかり。

例えば、こうして、スマホやPCに向かうこと。

いつでも食べ物が手に入ること。

さまざまな電化製品に囲まれ、さまざまな化学物質にさらされていること。

満員電車に乗ること。

それらは「文明」のすばらしい産物。

私も、今更もうそれらを手放したいとは思わない。

 

夕日を見ながら唐突に心の中に浮かんだ言葉は、

「1日に1回は夕日を見なければいけない!」

 

という言葉でした。

・・いやどんなにがんばっても、夕日は1日1回しか見られないのだけれども(笑)。

それほどまでに夕日を見るという行為は

「生き物として本来的」

な行為に思えたのです。

 

わたしたちはそれぞれにいろいろな顔や属性を持ち、さまざまなレイヤーの時間を生きることが出来る。

仕事というレイヤー、

家族というレイヤー、

女というレイヤー、

個人の名前というレイヤー、

それらを超えたただの生き物としてのレイヤー。

 

いろんなレイヤーを行き来しながら毎日を過ごして、その時々の、生きるという質感の連続を人生として知覚している。

 

今この瞬間、1時間前、1時間後、

あなたはどのレイヤーを生きているでしょう?

 

ふと窓の外に夕日を見つけるまでわたしは、そのプロジェクトがある「仕事」のレイヤーにいました。

頭の中で議事録を整理して、未来にワクワクして、そのレイヤーから世界に触れていました。

でもその「夕日の瞬間」、ただのこの地球の一匹の生き物としての知覚にスイッチしたのだと思います。

 

仕事のレイヤーも楽しいけれど、自然界の所属である生き物としての私には、そこが本来的であり、生き物としての私が喜ぶ時間。

そしてその美しい夕日を見つめていたら、どんどん視界が広がっていって、静けさの中に「畏怖」のような感覚が湧き上がってくるのを味わっていました。

生活の中でチューニングを合わせているレイヤーには、色々な問題や解決すべきことや目指すことがありどうしてもマインドが忙しくなるけれど、そこから自分をシフトさせてあげるこういう時間の大切さ。

 

自分の小さな力など超えた世界があること。

夕日を見る、って何気ない行為だけれどそれは、「太陽系のレイヤー」を生きる時間なのだと思いました。

 

 

2015年にカリフォルニア大学の研究チームによって行われたリサーチによると、「畏敬」の感情を体験した数が多い者ほど心理的な不安や体内の炎症レベルが低いという結果が出ました(200人の学生を対象にした実験)。

 

スタンフォード大学の実験では

壮大な海や山を移した動画を鑑賞した被験者は人生の満足度が上がり、チャリティなどへ寄付を行う気持ちが増加。さらには主観的な時間の感覚が長くなり「以前よりも仕事に使える時間が増えた気がする」と答える者が増加した。

のだとか。

 

時間感覚への影響が興味深いところ!

未来への予測、はわたしたち人間には構造上不安を生むようになっています。

畏怖を感じるような、大きなスケールのものに触れるとその不安が生まれる「わたしたちの」時間のレイヤーではなく、それを超えたもっと別次元の存在と一体化するレイヤーにシフトするのでしょうね。

 

あのいきなりふわっと居場所が変わるような感覚はそれだったのか・・。

 

 

折しも世間は、ブラックホールが初めて視覚的に観測できたという話題で持ちきり。

人々がこの話題に熱狂するのもきっと、いつも生きているのと違うレイヤーに私たちを連れていってくれるから。

夕日が太陽系のレイヤーなら、ブラックホールは・・・なんだろう「銀河系のレイヤー」かしら??

 

まあなにしろ、都市生活をしていたら、毎日夕日を見ることは難しいかもしれないけれど、時々空を見上げて、太陽を見て星を見て、太陽系のレイヤーを生きる時間を増やさねば!と思った1日でした。

 

ちなみに、私も大学院で宇宙物理学を学び、ブラックホールを観測していました。観測の現場は、オーストラリアの砂漠。満点の星空の下、カップラーメンをすすりながらPCの画面を見つめるという、宇宙と地球のレイヤーを行ったり来たりの現場でありました。

 

 

 

小笠原 和葉

ボディーワーカー /健康経営コンサルタント/
プレゼンス・ブレイクスルー・メソッド®(PBM)ファウンダー
代替医療を中心として学術・臨床研究を深めながらさまざまな発信や
コラボレーションを通して新しい健康観「健康3.0」を探求している。
著書「システム感情片付け術」(日貿出版社)
クラ二オセイクラル・プラクティショナー(CHA)アシスタント・チューター
Somatic Experiencing®認定プラクティショナー 
東北大学医学部大学院研究生
宇宙物理学修士
趣昧はフィギュアスケート鑑賞。一児の母。

http://pbm-institute.jp/